V-Tuber ZERO

日経とカヤックが画家が見ていた世界をVRで再現する技術「Art Immersion Technology」を開発

日本経済新聞社とカヤックは、共同で画かが作品を描く上で見ていた世界をVR(仮想現実)で再現する技術『Art Immersion Technology』(AIT)を開発。
2018年9月26日(水)より国立新美術館で開催される「オルセー美術館特別企画 ピエール・ボナール展」にて展示・公開を行うことを発表しました。

AITはAITは日経が2017年に設置した先端技術の開発組織「日経イノベーション・ラボ」とカヤックが共同で開発。
人工知能を使い、風景を画家のタッチを再構成し、展示室全体に投影します。
画家の視点から「描かれなかった風景」を作品と同時に見ることで画家の思考を追体験し、作品に対する理解を深めることができます。

今回、日経イノベーション・ラボは国立新美術館の協力を得て、ボナールが実際に暮らした北フランスの家、南フランスのアトリエ、散歩した道、ニースの岬などを訪れ、絵が描かれた場所を探し出し、撮影しました。
その上で、VRなどを利用した視覚表現で実績があるカヤックの協力を得て、描かれなかった風景の実写映像をボナールのタッチで描いた絵画の映像に変換しました。

没入型絵画体験『AIT』とは

画家が感じとった風景は、作者のタッチによってキャンバスに描かれています。しかし画家が絵を描くために立っていた場所には、キャンバスのなかに描かれきれなかった風景もあったはず。その「描かれきれなかった風景」を観賞することができれば、「作者の視界へと没入している状態」になり、なぜその風景の中から画家がその場所を切り取ったのかを体感できるのではないかーーーー。『AIT』は画家の思考を追体験する、新たな絵画展示のためのテクノロジーです。

開発体制

今回の『AIT』開発に当たっては国立新美術館の協力を得て、日経イノベーション・ラボがフランスにおけるピエール・ボナールの足跡を調査。ピエール・ボナールが実際に暮らした北フランスの家、南フランスのアトリエ、散歩した道、ニースの岬などを訪れ、絵が描かれた場所を明らかにし、撮影を行いました。そして実際に撮影された風景をもとに「絵画の拡張」を実現するための新たなAI( artificial intelligence: 人工知能 )を作成しました。

VRなどを利用した視覚表現で様々な実績があるカヤックは、その知見をもとに『AIT』展示室の設計や映像制作を担当。日経とカヤック、両社の力を融合することでピエール・ボナールが暮らし、実際に絵を描いた場所を『AIT』で再現しました。

『オルセー美術館特別企画 ピエール・ボナール展』での展示

今回の展示ではピエール・ボナールの作品の中から6点の絵画を厳選。絵画と同じ場所で360度撮影を行い、日経イベーション・ラボが開発したAIで「アーティストが描いた場合の絵画映像」に変換。展覧会の『AIT』セクションで、上記の絵画映像と実際の風景をプロジェクションマッピングによって360度に映し出します。展示された風景画だけでなく、部屋全体に「作者が目にしたが、描かれなかった風景」が広がり、「作者の視界へ没入する」体験を味わうことができます。

『AIT』の今後の展開

今後『AIT』は3Dスキャナや3Dプリンタなどを用いて、「絵画の中にあるモノ」の再現、スマートフォンとの連動などを検討するとともに、絵画展示を拡張する新たな展示手法として、日本経済新聞社主催の美術展をはじめとした様々な展示での利用を想定しています。

「オルセー美術館特別企画 ピエール・ボナール展」について

オルセー美術館の豊富なコレクションを中心に、国内外のコレクションの協力を仰ぎ、130点超の作品で構成される大規模な回顧展です。画家ピエール・ボナール(1867-1947年)は、目にした光景の印象を絵画化することに取り組み、鮮烈な色彩の絵画を多数生み出しました。展覧会の会期は9月26日(水)~12月17日(月)で、東京・六本木にある国立新美術館で開催します。

オルセー美術館特別企画 ピエール・ボナール展

関連リンク

日本経済新聞社
https://www.nikkei.com/
株式会社カヤック
https://www.kayac.com/

参考株式会社 日本経済新聞社 プレスリリース