銀座のド真ん中に特異点現る。リアル×バーチャルのライブ『 #Appearance東京 』イベントレポート







リアルとバーチャルの垣根を取り払い、同じステージでパフォーマンスが繰り広げられるライブ『Appearance東京』が2022年12月25日にesports 銀座 studioにて開催された。出演はSifar(シファル)、春奈るな、DJ TAMU、MaiR、黒崎真音ら5名がクリスマス当日を特別な夜にすべくステージを彩った。銀座のど真ん中に相応しい広々として豪華なエントランスには開演1時間前から待機列が形成されるほどに熱気あるオーディエンスらと共に過ごした4時間の模様をレポートしよう

レポート・文:前田勇介

■『Appearance東京』イベントレポート

『Appearance』はリアルとバーチャルそれぞれの実力派シンガーたちを招聘し、その垣根を音楽の力で乗り越える空間を創造してきた。この実験的なプロジェクトはこれまでに札幌、横浜、大阪と各都市で開催され、回を重ねるごとにその魅力と実績も伝播している。今回は東京の中心地、銀座での開催、しかもクリスマス当日ということもあり、高級ブランド店が立ち並ぶ目抜き通りも煌びやかだったが、そんな街の雰囲気にも負けない豪華な顔ぶれがステージを彩った。

この日のトップバッターを務めたsifarがサポートメンバーを引き連れ、登場すると「今日は声出していいからね!」と『狂奏インセプション』からライブをスタート。1曲目から激しめな曲調に合わせてLEDやスモークもガンガンで一気に畳みかけてきた。「歌ったらみんなから反応が返ってくるっていうのがあまりにも久々すぎて、やっぱり声出しライブって楽しいね!」と直後のMCでは喜びを噛みしめる。

続く『notion of you』はクリスマスがモチーフの楽曲だが、今回のためにイントロをアレンジした特別バージョンを披露。3曲目には中島美嘉の『GLAMOROUS SKY』をカバーというサプライズで大いに盛り上がった。
直後のMCではバンドメンバーの紹介に始まり、年の瀬ということもあって2022年の活動を振り返る。「今年はなんと言っても、初のフルアルバムをリリースさせて頂きました!」とトピックに挙げていたが、1・2曲目同様に『NAKED』『閃光ファンファーレ』とアルバム収録曲を続けて披露した。

彼女のデビュー曲でもある『閃光ファンファーレ』は草野佳代子プロデュースの楽曲だったりと、sifarの言葉を借りるならばどれも”つよつよ楽曲”なのが彼女の魅力のひとつでもあるわけなのだが、まさにトップバッターとしてはバッチリで、ステージを通してコール&レスポンスで観客との距離感をググッと縮めていく姿が印象的だった。

■sifar
狂奏インセプション
notion of you
GLAMOROUS SKY (cover)
NAKED
閃光ファンファーレ

続いては春奈るなが登場し、『アイヲウタエ』彼女の最新楽曲『BLUE ROSE』、そしてクリスマスらしく『snowdrop』を披露した。MCでは「私、クリスマスの思い出が本当になくて……推しのぬい(ぐるみ)とケーキ食べた記憶しかないです(笑)」と語り、会場の笑いを誘う。「でも!でも!こうやって推しのライブを見に来てるだけでも皆さん今年は充分リア充なんですよ!」と優しくフォローを入れるも、あまり納得がいってなさげな観客の雰囲気に「あれ?納得してないな……?」と返し、MCのコール&レスポンスまで息ピッタリなのに笑ってしまった。

「せっかくのクリスマスということで、私も特別なカバーを……」とここからはアコースティックパートと称して、キーボーディストの方を迎え、しっとりとした雰囲気でステージを展開させてく。まずは手始めにこちらも中島美嘉の『雪の華』をカバーすると、場内からは思わずため息が漏れる。

続けて『Overfly』をアコースティックverでその歌声を優しく場内に響かせていった。最後には元気いっぱいに『君色シグナル』を歌い上げると、観客のボルテージも爆発。久々の声出しの全力レスポンスを思いっきり楽しんでいた。

■春奈るな
アイヲウタエ
BLUE ROSE
snowdrop
雪の華 (cover)
Overfly
君色シグナル

続いてはDJ TAMUによる30分間のDJタイムだ。「僕の大好きなVtuberさんがこの後も控えているので、まずはこの曲から!」とMaiRの『Starlight』から始めると、さすがはUSAGI
Productionの主宰といった得意のVtuber楽曲を中心に、しかし時折り挟み込むそれ以外の楽曲も的確にフロアをロックし、じっくりと着実にバイブスをあたためて、ここぞのタイミングでドカン!と湧き上がる曲を投下していく。

まさにAppearanceを体現したような、リアルとバーチャルの架け橋を渡すような30分間を創り上げ、最高の雰囲気の中、MaiRへとバトンを繋いでいく。

6ヶ月連続リリースの第1弾楽曲『Survivor』で勢いよく登場すると、続けて『B!A!N!G!』を披露し会場を熱く沸かした。「皆さん、まだまだ腕上がりますか?飛べますか!?」とフロアを煽るが、それに呼応するように1曲ごとに歓声が大きくなっていくのが分かる。

MCパートでも、いつもの挨拶「世界のMaiRだー!」もバッチリ観客と声を揃えて披露して、一体感を高めていく。「みんなの熱気が凄すぎる!何言っても「フゥ~!!」って高まってくれるよね(笑)。みんな!納豆ってネバネバしてるよね~~??」に対しても全力で「フゥ~~!!」を返すくらいには盛り上がりを見せたところで、後半パートへと突入していく。
彼女とファンとの未来を描いた楽曲『ヒカリへ』では「2023年も一緒に思い出作ろうね~!」と叫び、『聲』ではライブアーティストらしくバラードナンバーも力強く歌い上げた。
最後に『スーパースター』を披露する前に 「まだ終わりたくないな。最後にみんなの声を聴きたいけど……うーん、思いつかないので、各々好きなことを叫んでください!」と求めると、本当にぐちゃぐちゃの大声がこだましたのが面白かったが、そんな独特な熱気が生まれるのも声出しライブの良い部分だと再認識させられる。

■MaiR
Survivor
B!A!N!G!
ヒカリへ

スーパースター

この日のトリを務めたのは黒崎真音だ。バックダンサーを引き連れた黒崎真音がミニスカサンタのコスチュームで姿を現すと『刹那の果実』を披露。あのイントロが聞こえてくると一気に会場のボルテージも高まり、打点の高いジャンプで飛び跳ねる人が続出していた。

「一緒にメリークリスマスしようぜ!」と『starry × ray』と強めの楽曲で続け、最前の盛り上がりも激しさを増していく。「普段はこんな衣装、絶対に着ないんだけどね……」と恥ずかしがりながらも「次の曲は私の楽曲で唯一、かわいい曲です(笑)」と皆で盛り上がるためにサビでの振り付けをレクチャーしていく。

続く『Peko Peko Peach♡』はその甲斐あってピッタリのダンスだったし、『Singularity』そして『メモリーズ・ラスト』までその勢いは止まることなく、右肩上がりで盛り上がり続けた。その盛り上がりはこの数年はなかなか見ることの出来ない光景だった為に懐かしくもあり、非常に胸がアツくなったし、噛みしめるように楽しんでしまった。

「これにてAppearance東京は終演となります、最後に出演者に大きな拍手をお送りください。メリークリスマス!」というsifarによる場内アナウンスをもって、Appearance東京は無事に終わりを迎えた。

■黒崎真音
刹那の果実
starry × ray
Peko Peko Peach ♡
Singularity
メモリーズ・ラスト

改めて振り返っても、各出演者の個性がぶつかり合う素晴らしい機会だったと感じた。それぞれが放つ色は違えど、力強く光り輝いていたし、その歌声はリアルとバーチャルに境界線なんてないんだなと思わせてくれる不思議なパワーを持っていることを再認識させてくれた。

また、Appearanceのコンセプトでもあるリアル×バーチャルをより深い体験としているのが『Monolis』の存在だ。背後のモニターではなく、ステージ上でバンドメンバーらと並んで顕現できるのは、まさにリアルとバーチャルの垣根を取り払う一助となっているし、その一挙手一投足をより身近に感じられたのだと思う。
次回の開催はまだ未定となっているが、ここまで4都市でその魅力を発信し続けてきたように、また新たな土地で、リアルとバーチャルが交差する特異点をぜひ生み出してほしい。配信はもちろんだが、生でしか得られない体験を提供しているのが、このAppearanceの最大の魅力だと強く感じたからこそ言いたい。次なる特異点がもし現れた時には、観測してみる価値は大いにあるはずだ。

■Appearance東京 開催概要

●公式WEB SITE
https://appearance.site

2022.12/25(sun)
会場 :esports 銀座 studio

●ACT
黒崎真音
https://twitter.com/kurosakimaon

MaiR
https://twitter.com/MaiR_Hoshino

春奈るな
https://twitter.com/luna_galaxy

Sifar
https://twitter.com/Sifar_VTuber

DJ TAMU
https://twitter.com/TAMU_USAGI

主催 : 弘洋株式会社 Appearance
協力: USAGI Production / 山葵音楽学校 Direction: MONSTAR design

20221225_Appearance東京