バーチャルシンガーYuNi、進化を魅せた”第2章”の幕開け。ワンマンARライブ『UNiON WAVE 〜evolve〜』レポート







2019年10月5日、渋谷にオープンしたばかりのLIVE&CAFÉ SPACE「Veats Shibuya(ビーツ・シブヤ)」にて、バーチャルシンガー・YuNiの自身初となるワンマンARライブ『UNiON WAVE 〜evolve〜』が開催。

10月1日に誕生日を迎え、更に進化を加速させるYuNiの”第2章”の幕開けとなるライブをこの目で目撃してきたので、その一部始終を綴っていこうと思う。

■進化する歌声とパフォーマンス

本イベントの会場となるVeats Shibuyaは、渋谷センター街に今年9月にオープンしたばかりのJVCケンウッド・ビクターエンタテインメント直営ライブスペース。開演前の会場入り口には多くのファンが集い、これから始まるYuNiの”新章”に期待してか、誰もが笑顔を浮かべて開場を今か今かと待ちわびているようだった。開場と同時に次々とステージ前が埋め尽くされていき、あっという間に満員状態。会場の後ろまでファンで一杯となり、一歩前に詰めるよう度々アナウンスが流れる盛況ぶりを見せていた。

開演時刻になると、ステージ上のスクリーンにひとつの「物語」が流れ始めた。とある女の子が歌活動を始めたことで新しい世界、果てない膨大な未来を見つけたという内容だ。
この後機材トラブルにより一時中断する事態となったが、客席の至る所で「がんばれー!」と声援が起こるなど、VTuberファンの暖かさを感じた。
そしていよいよステージにYuNiがその姿を見せ、1曲目「透明声彩」が流れ始めると、客席から大きな歓声が上がり、一瞬にして会場はサイリウムで緑一色に包まれた。

この「透明声彩」は、約1年前となる2018年10月25日にリリースされたYuNiの初となるオリジナル楽曲。1周年記念イベントの際、YuNiはこの曲が一番好きだと答え、本人にとってもファンにとっても思い出深い1曲となっている。彼女の透明な歌声は歌を続ける毎に彩りを増し、あの頃と比べても進化は一目瞭然だったのではないだろうか。

続けて流れ始めた「Winter Berry」では、ステージの前に2人のダンサーが登場。YuNiに合わせてリアルな人間が踊るというバーチャルとリアルが融合したステージに更に盛り上がりを見せる客席。歌声だけではなく、パフォーマンスもどんどん進化しているのだ。3曲目は「花は幻」。華やかで可愛い曲から一転、鬼気迫るような歌唱力を前にただただ圧倒された。

ここで再び物語が流れ始めた。歌活動によってたくさんの人に歌を聞いてもらうことができ、同じ電子の世界で活躍する仲間と出会い、活動は順調のように思えた。しかし、女の子はこれまでとは違う世界に戸惑いを覚え、物語に暗雲が立ち込めた。そして、4曲目「ジレンマ」を歌い始めるYuNi。曲の途中で”もう一人のYuNi”が現れ、ステージ中央で崩れ落ちるYuNiに手を差し伸べたかと思えば、そのまま入れ替わるというバーチャルならではの演出に鳥肌がたった。

真っ白な衣装に身を包んだYuNiは、「ペンライト準備できてますかー!いくぞー!」と、元気よく「ウタオウヨ、ウタヨウヨ」を披露。まるで暗雲を打ち払うかのような爽快な歌声とコールアンドレスポンスで、会場のテンションは一瞬にしてMAXに達しようとしていた。

■”表現者”としての進化を見せていきたい

ここで本イベント初めてのMC。ここまでリリースされた順で歌ってきたYuNiだったが、ここからは後半戦として、カバー曲を3曲連続で披露すると宣言。自分はバーチャルだから曲に合わせてすぐに衣装を変えられるが、これからは表現者としても進化していくところをみんなに見せていたきたいと話し、「帝国少女」にて長いポニーテールの姿を披露した。
続けて、いきものがかりの「ブルーバード」、KizunaAIの「Sky High」をカバーし、新たな表現力を手に入れたYuNiのステージに誰もが熱狂した。

そして物語はクライマックスへ。深く暗い海の中で膝を抱えて自問自答する女の子が、そこで見つけた一筋の光。応援してくれるみんなの声に支えられ、「”わたし”は、世界に歌を届けたい!」と力強く言い放ち、今月リリースされるコンピレーションアルバム「未来茶屋 vol.2」収録のNeko Hackerによる楽曲「Erased feat YuNi」を披露した。曲の途中で”第2章”からの新衣装へと変化し、その日一番大きな歓声が会場に響き渡った。新衣装はYuNiの要望を取り入れた左右非対称のデザインとなっており、桜木蓮さん(@sakuragi_ren)が担当。

新たな衣装を纏ったYuNiは、ここで「透明声彩」や「Winter Berry」を手がけたYUC’eによる新曲「Beautiful World」を発表。みんなと一緒にこの曲を歌いたいと、事前に練習をし、曲のラストは会場全体を巻き込んだ大合唱に。ちなみにこの部分はYUC’eも一緒に歌っているらしい。

曲が終わり、長いアンコールのあと、再びステージにYuNiが登場。「ここからは会場限定です。」と、ウェルカムボードに描かれたYuNi考案のキャラクター「まさお」を公式キャラクターにしようとして、スタッフに一斉に止められた話や、ずっとやりたかったロングポニーテールの裏話など、普段通りのゆるいMCで会場の笑いを誘った。

まさお

そして最後は、「みんなの体力を残しません!」「明日は筋肉痛だ!」と、「Write My Voice」を熱唱。再びダンサーたちもステージに登場し、”第2章”の幕開けとなる初のARワンマンイベントを盛大に締めくくった。

自称世界初のバーチャルシンガーとして、これまで歌ってみたやオリジナル楽曲の制作、ライブ出演など、様々な経験を積んで成長してきたYuNi。そんな彼女が”第2章”でどんな進化を見せてくれるのか。YuNiの今後の活躍に更なる注目が集まりそうだ。

(Text by zero

■セットリスト

1 透明声彩
2 Winter Berry
3 花は幻
4 ジレンマ
5 ウタオウヨ、 ウタオウヨ
6 帝国少女 (feat. 初音ミク)/R Sound Design [cover] 7 ブルーバード/いきものがかり [cover] 8 Sky High/Kizuna AI [cover] 9 Erased feat YuNi
10 Beautiful World
11 Write My Voice [アンコール]

■イベント詳細

『UNiON WAVE 〜evolve〜』
開催日時:2019年10月5日(土)
OPEN 18:00 / START 18:30
場所:Veats Shibuya

■YuNi

“(自称)世界初のバーチャルシンガー”として、2018年6月活動開始。
幅広いジャンルの歌ってみた動画を中心にYouTubeに投稿してきた。現在、YouTubeチャンネル登録者数 約30万人 / Twitterフォロワー約10万人。
2018年10月、プライベートレーベルyunion.waveを発足し、オリジナルソング「透明声彩」をリリース。
iTunesランキング総合3位、エレクトロニック部門1位を記録した。
2019年4月にリリースしたアルバム「clear / CoLoR」は、iTunesランキング総合4・5位、エレクトロニック部門1・2位、オリコンデイリーランキング8位など、数多くの音楽配信サービスで上位にランクインした。
トークや前口上ではなく、歌に真摯に向き合った活動を続け、昭和の歌謡曲、アニソン、ボカロ、洋楽など、幅広いジャンルの楽曲を透明感のある歌声で表現し、バーチャルシンガーの先駆者として業界を牽引している。
©YuNi

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